今まで何度か漫画を描く人の漫画を全力レビューしてきました。
そんな「漫画家漫画」の中で異質とも言えるべき個人的名作を
今回は全力レビューさせて頂きます!
【描かないマンガ家】えりちん
えりちん先生で全7巻の新感覚・マンガ家漫画!
もう一巻の表紙イラストで内容が伝わる素晴らしい表紙だと思います!
漫画家なのに描かない?
どういうこと?白紙の原稿用紙にドヤ顔な彼は何者なの?
その点も含めてレビューさせて頂きます!
【描かないマンガ家】あらすじは?
漫画大国・日本。歴史に名を残すプロマンガ家、己の欲求に忠実な同人マンガ家。だが、そのいずれにも属さない第三のマンガ家がいる。その名も…
このあらすじだと、ちょっとわかりにくいですね笑
舞台は漫画家専攻などのエンタメ系の専門学校。
そこに集うのは漫画家を志した若人がプロを目指す中、
主人公・ペンネーム:器根田 刃(きねだ やいば)はマンガ家気取りですが、
漫画どころかネーム*1すら描いたことがない。
ですが心はプロマンガ家。そう、心だけはプロなのだ!
そのギャップから生まれるコメディストーリーか~ら~の~!
ラストにかけて怒涛の展開が刃先生に待ち受けています!
そんな描かないマンガ家の魅力について全力レビューさせて頂きます!
描かない癖にカッコいい!?トキメク名言連発!
刃先生は、まだ準備期間だ、と言いつつ漫画を一切描きません。
ですが刃先生の中ではマンガ家なのです。
そんな刃先生の心に突き刺さる名言のオンパレード…!
そしてそこから生まれる失笑…実に面白い!
そんな刃先生の言動に周囲の友人達は心が動いたりしてしまいます。
しかし刃先生は描かないマンガ家です。
誰よりも熱く漫画を語る姿勢。しかし刃先生は漫画を描かない。
そして周囲の友人達はプロに向かって着実に時に心が折れそうになりながらも
ステップを踏んでいく…。
依然として刃先生は漫画を描きません。
そこから生まれる距離感…だんだん笑ってられない状況になっていきます。
そこまでの流れ、いかに刃先生が滑稽だったかが、ラストに向かって怒涛のラッシュを見せるところは、もう本当に目が離せません!
専門学校出身者は曰く「刃先生ばかりだった」
当時、この漫画を読んでいたころ、刃先生と同じくイラストや漫画関連の
専門学校卒業者の知人がポロリとつぶやきました。
専門学校には刃先生ばかりいたよ苦笑
と…。
そう、どんなに滑稽に見えても、ダメなやつだと刃先生を完全に突き放して
読むことが出来ないのは、
心のどこかに、みんな刃先生的要素を持っているから
だと私は解釈します。
先延ばし、勇気の一歩が踏み出せないリアルな人間像。
- 今は仕事が忙しいけど●●をいつかやるぞ!
- 今は実現していないけど、いつか●●になるんだ~!
そんなこと、思ったことありませんか?
そしてそれが実は勇気が必要だったりして、先延ばしにしていませんか?
刃先生の魅力はダメなやつだ…と思いつつも、そんな先延ばししている自分、
勇気がない自分、一歩踏み出せない自分が誰しも多かれ少なかれ
持っているから、刃先生に感情移入して読むことが出来る。
よく言われる、主人公に感情移入するってことって結構難しいんです。
それをビックリするようなキャラクターで感情移入に成功させた
えりちん先生の鋭い人間観察力などのたまものだと思います。
4巻から空気感が変わる!怒涛の展開が待ち受けています!!
個人的体感ですが、この漫画は4巻からコメディスタートから
ちょっと変わってきて、漫画について、漫画を描くことについて、
自分の作品を発表することについて考えさせられる展開、
刃先生のツケと言わんばかりの残酷な展開が待っています。
が、ただ残酷なだけでなく、最後はもう、号泣して感動しながら読んでしまえる。
漫画を描く人間、それがプロアマ問わず、本当に心に突き刺さる。
是非、漫画を描いているすべての人に読んでほしい!と思うくらいの名作です。
【描かないマンガ家】こんな方に全力オススメ!
- プロアマ問わず漫画を描いている方
- 話・絵柄ともに整っていてクオリティの高い漫画を読みたい方
- クリエイトな仕事についていて、心が折れそうな方
- 創作をしていて行き詰まりを感じ、いっそ号泣したい方
- 笑って泣ける漫画を読みたい方
ラストに向けて泣く準備はした方がいいと思う!
それくらいの名作!是非読んでみて下さいね✨
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*1:漫画を描く際のコマ割りや構図・セリフなどを大まかに表したもの